金融教育に関する実践報告コンクール
「金融教育を考える」第3回小論文コンクール(平成18年)
講評
「金融教育を考える」第3回小論文コンクールは、全国の教員・教育関係者から、前年(20編)を上回る22編の作品が寄せられました。厳正な審査の結果、特賞1編、奨励賞6編の入賞作品が決まりました。なお、優秀賞は該当作品がありませんでした。
今回は、地域と連携した活動、金融教育と環境問題を結びつけた取り組み、幼稚園児を対象にした研究、また複数の科目から横断的に金融教育を学習する必要性を提案した論文等、多岐にわたる内容の小論文があり、年々内容に深みのある作品が増えてきています。
審査に当たっては評価の分かれるものがあった中で、特賞の「切実な学びの中で確かな金銭感覚を育てる」は多くの審査員から高い評価を得ました。イベント「科学の祭典」を開催するために、古紙や空き缶の回収、バザーへの出品など資金調達を自分たちで行ったのをはじめ、修学旅行での見学プラン作成、家庭での買い物調べ等を通して、お金の価値、労働の意義、節約・倹約等、確かな金銭感覚を育てることを目標とした実践活動が報告されました。さらに、集めた資金は通帳を作って管理し、運用方法の検討、会計報告の習慣化もなされています。
今の時代は、子どもたちがあまり苦労なく欲しいものを手に入れることができます。携帯電話を持つ小・中学生も増え、携帯電話での商品やサービスの購入がふつうのこととなってきています。インターネットショッピングやネットオークションの市場も拡大しています。一方で、簡単に借金を重ねて多重債務に陥ってしまう人、定職に就かずフリーターでいいと思う若者やニートの増大も問題となっています。
こうした時代にこそ、金銭的自立や生活設計力、消費者としての意思決定力を小さい時から育てていくことが大切です。そのために、家庭や学校での金融教育の充実がますます求められてきています。
今後も全国の多くの先生方が金融教育に関心を持たれ、意欲的に実践されて、その成果をお寄せ頂きますとともに、これからの金融教育の推進を支援するような研究報告や提言も積極的に応募されることを期待しています。