金融教育に関する実践報告コンクール
第19回金融教育に関する実践報告コンクール(2022年)
応募状況および特賞・優秀賞受賞作品の紹介
第19回金融教育に関する実践報告コンクールでは、金融教育に関する提言、実践事例や実践計画などを募集しました。教員、研究者、教員を目指す学生の方等から17編の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、特賞1編、優秀賞3編、奨励賞4編の入賞作品が決まりました。
今年度も、「学校で取り組まれた実践報告」「学校で取り組む予定の実践計画」「金融教育・金銭教育研究校および金融教育研究グループで取り組まれた実践内容」を募集テーマ例として挙げました。
入賞作品のうち、特賞と優秀賞3編の4編を紹介します。
特賞「商業科と英語科における教科横断的な金融教育の実践『日本と諸外国の医療保険制度の比較から』~今、私たちが考え、実践するべきこと~」は、1年次の商業科で税金や保険の基礎知識を習得した生徒に対し、2年次の英語科で日本と諸外国の医療保険制度の比較をテーマに実践した事例を報告しています。「教科横断的な取り組みが成功している事例であり、金融教育の過程も的確に表現されている」「課題設定が意欲的で、アメリカ人学生のインタビューなど生徒に挑戦させる姿勢が良い」「教科連携と教員の連携、外部との連携が非常にうまく出来ており、単元全体の流れもよくわかった」「英語やお金の教育だけでなく、海外の文化にも踏み込んだ深い授業である」として高い評価を集めました。
優秀賞「行動経済学の知見を用いた金融教育の教材開発と授業提案~資産運用カードゲームを活用した授業計画~」は、高校生向けに開発したオリジナルのカードゲームと、これを用いた授業計画を報告しています。「行動バイアスを分かりやすく理解できるように工夫している」「振り返りシートにより、生徒たちの反応を見ながらゲームを活用して授業を進められる」「自分の癖、行動バイアスに気付かせるというアプローチは金融教育としても重要な視点であり、問題意識に基づいて自らゲームを制作する意欲、姿勢が良い」と評価されました。
優秀賞「規格外野菜の販売体験を通した金融教育のスタート~「食品ロス」に対する総合的な学習の時間の取組~」は、小学校の児童による金銭的な問題行動を解決するため企画した「規格外野菜の販売体験プロジェクト」を報告しています。「今日的な課題について地域を巻き込みながら取り組んでおり、課題認識から実践までリアリティを持って伝わった」「コロナ禍で活動制限されている中で、工夫して学校全体で金融教育に取り組み、新たな課題に挑戦していて、実践報告のまとめ方も質が高い」「夏祭りの単発企画に終わることなく、まちづくり学習という繋がり、広がりを見せている」として評価されました。
優秀賞「小学生がお金を稼ぐ!?~お金の学習を通して生き方をより良くしよう~」は、お金の学習を通じて「ふるさと納税」のことを知り、働く対価としてお金をもらうことで、職業観や勤労観を高める取り組みを報告しています。「稼ぐことを教えるのがいちばん難しいが、子供の目線でプロジェクトを作って、実践まで育て上げている」「外部講師を的確に金融教育に取り入れている」「労働の喜びという本質的なところを実感できており、ひとつひとつの課題を次の課題に繋げることにも成功している」として評価されました。
今回のコンクールでは、金融経済を様々な教科で取り上げ、医療保険制度や食品ロスといった社会課題について取り組んだ作品やゲームを使った作品、教科間連携、地域や外部講師との連携に取り組む意欲的な作品が目立ちました。特賞、優秀賞を受賞された皆様の優れた作品が広く取り上げられ、金融教育への機運がより一層高まることを願っています。