住宅購入資金 ~ローンの選び方、そのポイントとは?
住宅ローンを見直す
繰上返済
繰上返済とは、通常の返済とは別に、借入額の一部(あるいは全額)を返済することを言います。通常の返済には利息分も含まれていますが、繰上返済の場合は、返済額全てが元金の返済に充てられます。それによって、支払う利息を軽減することができるものです。
繰上返済の方法
期間短縮型
返済金を一定期間の元金の返済に充てて、その期間分だけ返済を短縮する方法です。毎回の返済額は変えずに返済期間を短くするのでその分の利息が軽減される仕組みです。
返済額軽減型
期間短縮型と同様に、返済金を元金の返済に充てますが、残りの返済期間を変えずに元金返済に充てて毎月の返済額を引き下げる仕組みです。
繰上返済の効果
繰上返済の効果は期間短縮型、返済額軽減型で異なります。同じ時期に同じ金額を繰上返済した場合には、期間短縮型の方が軽減される利息額は多くなります。
借入額3,000万円、金利2.0%、返済期間30年、元利均等返済、ボーナス払いなし、
3年後に100万円を繰上返済
期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
---|---|---|
軽減される利息 | 約69.2万円 | 約29.4万円 |
期間短縮月数 | 15ヶ月 | ― |
毎月返済額 | 110,885円 | 106,879円(▲3,976円) |
期間短縮型が合っているのは……
毎月の返済額には余裕がある場合に向いています。
定年退職までに完済するために期間を短くしたい、総返済額を減らしたいなどの目的の場合には期間短縮型で繰上返済しましょう。
返済額軽減型が合っているのは……
返済額を下げて毎月の返済の負担を減らしたい場合に向いています。
教育費がかかる、妻が仕事をやめて収入が減るなど、他の負担が増えた時には、返済額軽減型で繰上返済しましょう。
また、変動金利型や固定金利選択型の住宅ローンを借りていて、金利が上がった場合には、返済額軽減型の繰上返済を行うことにより、返済額がアップするのを抑えることもできます。
なお、借入時に保証料を一括支払いしていた場合には、繰上返済をおこなうことで、残高が少なくなったり、借入期間が短くなったりする分の保証料が返還されます。ただし、事務手数料や振込手数料がかかるので、戻ってきてもごくわずかということもあります。いくらくらい戻るのかは、事前に金融機関に確認してください。
繰上返済を行うときの注意点
繰上返済を行えば利息軽減効果があるのは事実ですが、次のような点に注意して行いましょう。
将来の家計の変化を考慮しながら行う。
子どもの教育費など、将来支出の増加が見込まれる場合には、支出のめどが付くまでは繰上返済をしすぎない。
きちんと予備費を残した上で繰上返済を行う。
生活費3ヶ月~半年分くらいの予備費は必ず手許に残しておく。
いずれ借換えをしようと考える人は、期間短縮型の繰上返済は慎重に行う。
収入が減った場合などには、期間を短縮したために借換えができないこともある。
繰上返済の利便性も確認
繰上返済を行うには、借入れしている金融機関で手続きすることが必要です。手続きにあたり、手数料がかかる場合があります。この場合には、少額でかつ頻繁に繰上返済をすると、手数料がかさみ利息軽減効果も小さくなってしまいます。
最近では、繰上返済手数料無料のところも増えてきていますので、コツコツ繰上返済したい場合には、手数料の有無も住宅ローン選びでは重要なポイントになります。
また、いくらから繰上返済できるかも確認しておきましょう。1円から、1万円からというように少額からできる場合もありますし、「フラット35」は100万円以上(インターネットによる手続きの場合は10万円以上)となっているなど、金融機関によって規定が異なります。