愛称「知るぽると」
当委員会活動に関する日本銀行総裁定例記者会見発言
2004年(平成16年)4月9日に行われた日本銀行総裁定例記者会見の要旨から抜粋
(問)
金融教育の啓蒙について、総裁は熱心に取り組まれる意向だと伺っている。また、金融広報中央委員会のいろいろなイベントにも総裁自ら出席するという意向もあるやに聞いているが、具体的な狙いとどんなことに取り組んでいくのかについて伺いたい。
(答)
金融広報中央委員会で今年度からさらに力を入れようとしている金融の教育については、私自身の考えあるいは日本銀行の考えと、金融広報中央委員会が新しく方針として出していることと非常に平仄があっていると思っている。
これから先、日本経済がより持続可能性の強い回復ないし成長過程に入っていく──個々の企業からみてもより競争力の強い条件を整えていく──という前提に立った場合、我々の持っているお金が──私がいつも使っている言葉で言えば──より活き活きと使われていかなければ困る。安全へ安全へとお金が逃げ回るというのではなく、お金を自分自身が使うときも、金融仲介機能を通じて他人にお金を使って頂く場合にも、本当に活きる方向に使われないといけない。そうでなければ、企業が付加価値創造の最前線でグローバルな競争に勝っていくための有効なお金として活用されないということになる。お金そのものの動きがより前向きになっていかなければならない。金融機関とか金融市場の機能は、あくまでも仲介機能であり、本当にお金を持っているのは我々、最終的には個人である。個人が持っているお金が、金融機関なり金融市場を通じて最終的なお金の使い手のところで、活き活きと使われるように流れていかなければならない。そういう意味では金融機関が不良債権問題を早く処理して、来年のペイオフ全面解禁を見事に乗り切り、さらに競争力をつけていく必要があり、金融市場自身も従来のように狭い金融市場ではなく、シームレスな、より幅の広い金融市場になっていくということが必要である。それと同時にお金の最終保有者が、どこにお金を置くかという点も含めて、お金に対する新しいセンスをより強く身に付けて頂くことが重要で、お金を最初にどこに置くかという出発点のところから有効なお金の流れの糸口がつけられるようなものにしていかなければならない。
そういう意味で金融広報中央委員会が今年度の方針として打ち出されたより前向きな姿勢を日本銀行としては積極的にサポートしたいし、私個人としてもサポートしていきたいと思っている。生活に身近なテーマを取り上げての全国キャラバン講座を開くということも聞いている。できれば私もキャラバン講座に出たいと思っている。
それから金融広報中央委員会というのは、名前が覚えにくい──私も貯蓄広報中央委員会という昔の名前が先に出てしまい、今の名前は確認しないとなかなか出てこないことがしばしばあって大変申し訳なく思っているが──という点でも、既に新しいニックネーム「知るぽると」を発表した。若い人には非常にぴんとくるニックネームをつけ、ロゴもいれたということで、わかりやすい顔つきでこの運動が積極的に展開されていくことを私自身強く期待しているし、サポートしたいと思っている。
日本銀行総裁定例記者会見の要旨(日本銀行へリンク)