金融商品なんでも百科
(平成27・28年用)
金融商品をめぐる環境変化と適切な金融行動
適切な金融商品の利用選択のための環境整備
2007年に始まった世界金融危機の中で、米国では、本来高額の住宅ローンを返済するのに必要な年収のない人々が、借り入れ当初だけ適用される低金利や、安易な住宅価格の値上がり期待をあてにして多額の借入れをし、住宅を取得したところ、住宅価格が大幅に下落して返済不能となりました。また、そうした住宅ローンを組み込んだリスクの所在がわかりにくい複雑な金融商品が世界中で販売されました。こうしたことを受け、金融機関等に対する規制・監督強化と消費者保護施策の推進と同時に、消費者の金融リテラシー不足にもその一因があるとの認識が高まり、多くの国々で金融教育の推進・金融リテラシーの普及が始まりました。消費者が自己の責任で金融商品を選択する時代には、こうした金融機関の規制と消費者保護そして金融教育に関する環境整備が極めて重要になっています。
セーフティネットの整備
金融機関の競争によって、選択の幅は拡がってきましたが、その一方で、金融機関の破綻を目の当たりにした時、自分の運用資金の安全性が脅かされるのではないかと心配する方も少なくないと思います。
しかし、生活者の「安全に運用したい」というニーズに対しては、政府による手厚い保護がなされています。たとえば、元本保証のある預金には、預金保険による保護の仕組みがあります。金融システム全体にも、政府は、仮にある金融機関が破綻しても、それに伴うシステムの動揺が大きくならないように、バックアップする体制を法的に整備しています。これがセーフティネットです。セーフティネットは、システムが動揺しても、その周りに大きな安全ネットを張って、生活者の安全が守られるように受止める役割を果たしています。
多様な選択肢の中で、リスクをとりたくないと感じる人は、セーフティネットの仕組みを知り、こうした仕組みの整った金融商品を選択することでリスクの範囲を縮小することができるわけです(詳しくは、「金融機関破綻時の金融商品の保護について」の章をご覧ください)。
金融機関のディスクロージャー
自己責任の原則が適用されるには、正しく判断できるだけの情報が公開されていなくてはいけません。十分な判断材料がないまま「健全な金融機関を選ばなかったほうが悪い」といわれても困ってしまいます。金融機関のディスクロージャー(情報開示)が適切に行われるようにルールを整備することは、健全な金融機関を選ぶために必要不可欠な前提条件といえるでしょう。
消費者基本法と消費者基本計画
平成16年に施行された「消費者基本法」(旧「消費者保護基本法」)は、金融も含めたすべての消費分野で、自己責任で判断できる消費者の確立を求めています。同法では、消費者対策で尊重すべき消費者の権利として、
-
消費者の安全が確保されること
-
商品とサービスについて消費者の自主的で合理的な選択の機会が確保されること
-
消費者に対して必要な情報と教育の機会が提供されること
-
消費者の意見が消費者政策に反映されること
-
消費者に被害が生じた場合は適切・迅速に救済されること
を挙げており、また消費者が自ら利益の擁護および増進のために自主的・合 理的に行動することができるよう、消費者の自立支援を基本として消費者政策が行われなければならないとしています。
これらの実現のため平成21年9月に消費者庁が発足し、平成22年3月には第二期目の消費者基本計画が作成され、実行されています。金融については、高齢者などをねらった悪質商法対策の強化、外国為替証拠金取引等における金融商品取引法の厳正な運用、融資保証金詐欺や架空請求詐欺・未公開株取引を利用した詐欺的商法等の取締り強化を打ち出しています。また平成25年6月に策定された消費者教育基本方針が盛り込まれ、金融を含めた消費者教育の推進が掲げられています。
消費者教育推進法
消費者教育に関し、基本理念を定め、国や地方公共団体の責務を明らかにすることなどにより、消費者教育を総合的かつ一体的に推進することを目的とした法律で、平成24年12月に施行されました(正式名称は「消費者教育の推進に関する法律」)。同法の消費者教育の基本理念は、「消費生活に関する知識を習得し、これを適切な行動に結び付けることができる実践的な能力が育まれること」および「消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画し、その発展に寄与することができるよう支援すること」です。また、消費者教育推進に関する施策を策定し実施することを、国や地方公共団体の責務としています。
これは「消費者基本法」で示された消費者の権利である「消費者に対する教育の機会の提供」を目的とするもので、消費者教育とは「消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育及びこれに準ずる啓発活動」とされ、幼児期から高齢期までの各段階に応じて体系的に行うよう定めています。
金融教育の推進
自己責任意識が定着するには、金融知識の普及、金融教育への取組みが大切だと考えられます。我が国では2012年11月に金融庁が、有識者・関係省庁・関係団体をメンバーとする「金融経済教育研究会」を設置して今後の金融経済教育のあり方について検討を行い、2013年4月に研究会報告書を公表しました。この報告書を受けて2013年6月、金融広報中央委員会を事務局とする「金融経済教育推進会議」が設立され、この取組みを推進しています。
金融広報中央委員会、各都道府県の金融広報委員会も、(1)中立・ 公正な立場からの正確でわかりやすい「金融経済情報の提供」と、(2)一人ひとりが賢い消費者として自立するための「金融経済学習の支援」をいわば車の両輪とした金融に関する情報普及活動を積極的に展開しています。とくに近年は、学校段階における金融教育への関心・ニーズの強まりに対し、若年層向けの教材の充実や、金融教育公開授業も行ってきました。ほかにも、金融経済に関する正確で十分な知識を習得したり、調べたりできるように、インターネット(https://www.shiruporuto.jp/)による情報発信に力点を置いているほか、本冊子を含めた各種資料の作成や各種ビデオ教材の貸出し、各地における講演会・セミナー、また、コンクールの実施など、さまざまな活動を広範に行っています。
刊行物名 | 用途 |
---|---|
くらし塾 きんゆう塾 | 季刊発行の広報誌。暮らしに役立つ身近な金融知識、金融教育の情報を知りたい方に。 |
家計の金融行動に関する世論調査 | 家計の金融資産に関する意識やその実態について、調査レポートで知りたい方に。 |
きみはリッチ? | 多重債務問題への対処等について知りたい方に。 |
大人のための お金と生活の知恵 | 大人にとって役に立つお金と生活の基本的な知恵を身につけたい方に。 |
*https://www.shiruporuto.jp/public/data/magazine/で他の刊行物も確認できますのでご利用ください。また、一部はご請求も可能です。
また、金融知識の普及には、私たち一人ひとりが、十分な金融知識を身につけることの大切さを認識し、主体的に学んでいこうとする姿勢も重要です。金融知識は、さまざまな金銭・金融トラブルから私たちの身を守ることに役立つだけでなく、人生における夢や安定した老後の生活の実現にも欠かせません。
タイプ別金融知識を身につける際のポイント
人生の中での置かれた立場によって、私たちが身につけるべき金融知識も微妙に変わってきます。ここでの例示は、あくまで1つのパターンにすぎませんが、これから金融知識を身につけようとする際のポイントとして参考にしてみてください。
【大学生】
大学生は精神的・生活的・経済的自立への第一歩の時期です。学生として、幅広い教養と専門性ある学問を習得し、就職するための職業能力の基盤を身につけると同時に、生活力の一環として金融に関する知識と判断力そしてスキルを身につけることが求められます。具体的には次の点に注意しましょう。
- アルバイトしたり自活したりしながら、収入と支出にかかる家計管理能力を磨くこと。本当に必要なものだけ買い、必要のない物はがまんする心を養うこと。
- カードやローンなど借入に頼らず、限られた収入の中でお金のマネジメントができること。また貸与型奨学金についても返済計画に注意すること。
- リボルビング払いやキャッシングを安易に利用することの怖さを十分理解すること。そのために金利の仕組みの理解と適切な金利感覚を身につけること。
- 教材やエステも含めて、訪問販売やインターネットショッピングなどさまざまな商法による勧誘にのせられて購入し、多額の出費やローンを組んだりしないこと。架空請求や未公開株取引勧誘などの知識と対処法を理解すること。
- ギャンブルや投機的売買に手を出して失敗しないこと。
- 公的年金の仕組みを理解して国民年金保険料を納めること。
- 学生生活中のケガや病気、自動車事故などに備えて障害保険や自動車保険などの加入を検討すること。
- 少額でも積立貯蓄をすること。
- 大学卒業後のキャリアについて両親や大学の相談室などと一緒に考え、必要であれば資格取得などもすること。大学で学問することは将来のための貴重な自己投資であることを自覚し、学業にはげむこと。
- 社会のため、人のため、地球環境のためにお金を廻すことを視野に入れ、寄付や社会的責任投資、社会起業家、環境保全の貯蓄や投資などについても考えてみること。
【シングル層】
仕事をしているシングル層の場合、子どもの教育費に関する金融知識は必要ありませんが、住宅や老後資金そして医療保険に関する金融知識は重要です。
次の点を中心に金融知識を得るようにしましょう。
- 収入と支出、貯蓄と保険・資産運用などに関する家計管理の知識とスキルを身につけること。
- クレジットカードの使いすぎ、インターネットショッピングやテレビショッピングなどでの使いすぎに注意すること。FXなどハイリスクの金融商品には十分注意すること。
- 住宅取得の場合は、過大な住宅ローンを組まないように、資金計画をたて住宅ローンの種類や金利タイプの知識、金融機関ごとの住宅ローン商品の特徴をしっかり把握すること。
- キャリアアップのためのスキル獲得や資格取得などの自己投資を効果的に行うこと。
- 保険については、生命保険よりも医療保険について、自分にあった内容の長期保障を得るように、保険知識と商品知識を持つこと。
- 失業した場合の雇用保険の基本給付や職業訓練に関する給付などの知識をもつ。
- 老後のための長期的な資金作りを貯蓄・保険・投資を通して準備できるように、公的年金やねんきん定期便の知識を獲得し、資産運用や個人年金の知識を身につけること。
【シニア層】
シニア層は、すでに一定の不動産や金融資産を保有している場合が多いのですが、人生経験豊富で知識も持っている積りでも、意外とそれらの資産について正確な知識を持っていないことも多く、また介護や相続・相続税など高齢期に特に重要になる金融知識が色々とあります。また実際の金融トラブルもシニア層で多く起こっており、その対処も重要な課題です。従って次のような点での金融知識が求められます。
- ねんきん定期便によって公的年金の金額を確認できること。
- 高齢者をねらった金融被害にあわないために、悪徳商法や振り込め詐欺などについて最寄りの消費生活センターなどを通してしっかりとした知識をもち、対処策や相談連絡先を確認しておくこと。
- 未公開株・社債・商品相場・外国通貨など利殖に関する消費者トラブルに巻き込まれないように、国民生活センターや金融庁・消費生活センターなどから知識を得て対処すること。
- 生命保険や医療保険の内容の整理をし、それらの保険金請求方法や税金について把握しておくこと。
- 将来的に意思決定能力の低下の不安がある場合、家族にサポートしてもらうことと同時に、地域包括支援センターや社会福祉協議会などで成年後見制度や介護保険制度活用について知識を得て、利用を検討しておくこと。
- 将来の相続に備えて資産管理をきちんと行うこと。預金口座や証券口座の整理や残高の定期的な確認をすること。金融機関の貸金庫の利用も含めて重要書類の整理と管理を行うこと。不動産も含め、遺産分割について遺言を検討しておくこと。
- 税理士・弁護士・ファイナンシャルプランナー・消費生活相談員など、信頼できる専門家に相談できるようにしておくこと。
【障がい者】
障がい者の方(あるいは障がい者を支えている方々)は、障がい者に対応した年金や税金・医療保険などの各種制度や金融商品、そして自治体などの制度と手続きをよく理解し知識を身につけ十分に活用できるようにすることが大切です。また社会に出て働く知的障がい者が金融トラブルにあったり多重債務に陥る例が後を絶ちません。そうした意味で障がい者が金融に関する消費者教育を受け、金融トラブル等に対処することはとても重要です。また金融機関や金融の専門家が障がい者への理解を深めることも、トラブル防止のために必要です。
- 公的年金である障害年金の仕組みと受給、所得税の障害者控除や特別障害者控除、相続税の障害者控除などについて知識を得て活用すること。
- 利子が非課税となる障害者マル優制度、信託銀行で扱う障害者非課税信託(特定贈与信託)、生命保険に関する障がい者の保険料免除など有利な金融商品についての知識を得ること。
- JR運賃・航空運賃・自治体で運営するバス・有料道路通行料など交通に関する割引、NHK受信料免除や郵便料金の減免などの知識を得て活用すること。
- 公営住宅の優先入居、都市再生機構の賃貸住宅優遇制度、住宅金融支援機構の金利優遇制度など、住宅に関する金融知識を得て活用すること。
- 民生委員を通して社会福祉協議会から生活福祉資金の貸付を行える制度を活用すること。
- 金融トラブルや多重債務についての知識をもち、消費生活センターや社会福祉協議会など相談できる場所を知っておくこと。
公正な取引の確保と金融ADR
自己責任原則が当たり前に受け入れられるには、不正がないことも前提になります。商品の内容やリスクについてきちんとした説明のない不当な勧誘で被害を受けたのに、「自己責任だ」といわれても納得がいきません。
このため、平成22年4月に金融分野における裁判外紛争解決制度(金融ADR:Alternative Dispute Resolution)が創設されました。これは時間もお金もかかる裁判をすることなく、苦情処理と紛争解決の両方を行う制度で、紛争解決については、当事者同士があっせん・調停・仲裁などの合意によって行います。これによりトラブルの性質や当事者の事情に応じた迅速で簡易かつ柔軟な紛争解決が期待できることになりました。この制度に基づき、金融庁は業(第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業等)ごとに指定紛争解決機関を指定しました。また法務大臣により裁判外紛争解決機関として認証されている民間機関に日本共済協会、証券・金融商品あっせん相談センター、(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会があります。苦情や相談がある場合は、こうした指定紛争解決機関等にご連絡ください。
金融なんでも情報(くらしに身近なおかねについてのホームページ、困ったときの相談窓口)
消費者は、購入した金融商品に問題を感じた場合、金融商品の種類に応じて指定紛争解決機関に申し立てをします。当該金融機関がどんな指定紛争解決機関と契約しているかは、その金融機関のホームページで調べて確認してください。指定紛争解決機関は、次の8つです。
全国銀行協会 | 生命保険協会 | 日本損害保険協会 |
---|---|---|
信託協会 |
保険オンブズマン | 日本少額短期保険協会 |
日本貸金業協会 |
証券・金融商品 あっせん相談センター |
これらの機関は、金融機関を当該紛争に関して調査し、消費者と金融機関に和解案を提示します。原則すべての金融機関が指定解決機関と契約を結びます。紛争解決機関に消費者から苦情や相談が持ち込まれた場合、金融機関は解決機関への説明や資料提出を義務づけられるほか、合理的な理由がない限り和解案も原則、受け入れなければなりません。また、金融庁は解決機関に対する検査や監督を強化し、中立性を確保します。消費者の指定解決機関利用料は無料、有料でも2,000円~5万円程度で、数十万~数百万円かかる訴訟費用より安価です。
指定紛争解決機関がない業態の金融機関に関する苦情処理等については、その金融機関に直接問い合わせてください。なお次の表にある団体に加入している金融機関については、その団体のホームページでも説明しています。
全国信用金庫協会 | 日本資金決済業協会 | 日本投資顧問業協会 |
---|---|---|
全国労働金庫協会 |
不動産証券化協会 | 金融先物取引業協会 |
全国信用組合中央協会 | 日本証券業協会 | 第二種金融商品取引業協会 |
JAバンク (JA・信農連) |
投資信託協会 |
証券・金融商品 あっせん相談センター |
JFマリンバンク (漁協・信漁連) |
消費者団体訴訟制度
消費者被害の未然防止や被害拡大の防止のため、内閣総理大臣が認定した「適格消費者団体」は、それぞれの法律に違反する事業者の不当な行為に対して、差止請求ができることになっています。
適格消費者団体は、現在11あり、消費者庁サイト内「消費者制度」に一覧表があります(平成26年11月末時点)。事業者の不当な行為をみかけたら、適格消費者団体に連絡しましょう。
金融トラブルに巻込まれないために
近年さまざまな金融トラブルが起こっています。これはインターネットなども含め、金融商品販売ツールが多様化していること、新しい金融商品開発のスピードが速く消費者側の金融商品理解との間に情報格差があること、法整備が充分でなかったこと、金融知識・理解に比較的乏しい高齢者を中心に個人の金融資産蓄積が進み、年金不安と超低金利の中でリスクを十分理解せずにリターンを求める問題があること、などによっています。
金融トラブルには次のようなものがあり、それぞれ本書のコラムで詳しく説明しています。
ア.ヤミ金融関連
イ.外国為替証拠金取引
ウ.投資ファンドなどの投資商品
-
未公開株式
コラム『未公開株、社債等に関する不審な勧誘にはご注意を!』 -
不動産ファンド
出資法に抵触するおそれのあるものや、要件を具備していないもの -
投資ファンド
コラム『いわゆる投資ファンドについて』
エ.銀行商品
-
窓販商品
投資信託や変額年金保険は基本的に元本保証型商品ではなく、元本保証しないという認識が購入者になく、トラブルになることがある。 -
預金関連
フィッシング詐欺(金融機関などからの正規のメールやWebサイトを装い、暗証番号やクレジットカード番号などを盗む詐欺です。「釣り」を意味する「fishing」が語源になっています。)や盗難通帳・カード・偽造カードによる預金引出し
コラム『キャッシュカードを守る』
オ.その他
振り込め詐欺
コラム『振り込め詐欺とその救済について』
これらのトラブルにあわないためには、次の点を心がけてください。
-
甘い話の裏には、必ず大きなリスクがあること、「ハイリスク・ハイリターン」を肝に銘じること。
-
金融経済知識を身につけるよう努力する。特にそれぞれの金融商品のリターンと同時にリスクについて十分把握する。
-
信用のおける業者であること。住所・電話番号・代表者名・規制する法律名・登録しているかどうか、など相手の情報を確かめる。
-
自分の個人情報はなるべく言わない。
-
自分で決断力が弱かったり、意思決定能力が衰えている、という場合は、相談できる家族や信頼のおける第三者にサポートしてもらうこと。そのために、日常生活自立支援事業や成年後見制度を活用すること。
コラム『高齢者の資産管理と日常生活自立支援事業』
コラム『高齢者の資産管理と成年後見制度』
振り込め詐欺とその救済について
振り込め詐欺とは、主に次の4つの詐欺のことです。
-
オレオレ詐欺
電話を利用して親族、警察官、弁護士などを装い交通事故の示談金などの名目で、現金を預金口座などに振込ませるなどの方法によりだまし取る(脅し取る)詐欺(恐喝)。すぐに振込まない、1人で振込まない、のが鉄則です。 -
架空請求詐欺
郵便、インターネットなどを利用して不特定多数の者に対し、架空の事実を口実とした料金を請求する文書などを送付するなどして、現金を預金口座などに振込ませるなどの方法によりだまし取る(脅し取る)詐欺(恐喝)。発送元が裁判所の場合は、裁判所のホームページ等で電話番号を調べたうえで、その裁判所に確認してください。架空請求詐欺事件では、書面に振込先の銀行口座を記載せず連絡先の携帯電話の電話番号だけを記載し、連絡を受けると口座を指定して振込ませます。また、携帯電話にきた迷惑メールに記載されたアドレスをクリックしただけで高額な入会金を請求するなど、手口が一段と巧妙になっています。利用した覚えがなければ振込まない、もし、請求の電話があってもはっきり断る、のが鉄則です。
-
融資保証金詐欺
実際には融資しないにも関わらず、融資する旨の文書などを送付するなどして、融資を申込んできた者に対し、保証金などを名目に現金を預金口座などに振込ませるなどの方法によりだまし取る詐欺。
-
還付金等詐欺
税務署や社会保険事務所を偽り、税金の還付金等に必要な手続きを装って、ATMを操作させて口座間送金により、現金をだまし取る詐欺。
これらに共通する留意点は、相手に連絡しない、相手に自分の氏名・住所を教えない、見覚えのない送信元からのメールに表示されているアドレスにはアクセスしない、ということです。
詐欺にあった場合は、「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」(平成20年6月21日施行)が適用されます。この法律は、詐欺その他の人の財産を侵害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法として振り込みが利用されたものによる被害者に対し、被害回復分配金の支払手続等を定めるものです。これには金融機関への被害の申請が必要です。また振り込んだお金が引き出されている場合は、その額により分配金が一部減額されます。被害にあった場合は、警察や金融機関に早く連絡し、犯罪に使われた口座の利用停止を求めてください。