金融商品なんでも百科
(平成27・28年用)
金融商品をめぐる環境変化と適切な金融行動
直接金融の拡大と適切な金融行動の重要性
かつて金融の仕組みは、個人と企業などとのお金のやりとりが銀行や信用金庫などを仲立ちとして行われる間接金融が中心でした。個人は銀行などにお金を預け、それを銀行は企業に設備投資資金などとして、また個人に住宅ローンとして融資したりします。貸出す資金が回収されるかどうかのリスクは銀行が負い、個人は基本的に預貯金で貯蓄していれば一定の金利を得ることができます。また以前は、さまざまな規制により金融機関の競争が制限され、金融商品の種類も限られ金利も同じで、生活者にとって金融商品の選択の余地があまりありませんでした。こうした時代には、私たちが金融商品を選ぶ際に、金融機関経営の健全性や金融商品の安全性の十分な判断をしなくても済んでいたといえます。
しかし、こうした環境は変わりました。現在は間接金融に加えて直接金融の仕組みが広がっています。個人は銀行などを仲立ちとすることなく、金融機関で直接、株式や債券を購入することにより、直接企業にお金を投資する機会が多くなっています。その場合株式や債券が値上がりすると、その収益は直接個人にもたらされます。また金融機関の競争によって、私たちは多様な金融商品・サービスを選択して、より高い収益性や利便性を追求できるようになっています。
規制緩和と直接金融の拡大により期待される生活者にとってのメリット
間接金融と直接金融
他方、株価や債券価格は変動するので、その価格変動リスクや信用リスクなどは、個人が直接負うことになります。市場性のある投資信託等は銀行等でも購入できるので、元本保証のある預貯金と混同しないよう注意が必要です。手数料等のコストも金融商品によってさまざまです。また、何に投資しているのか、どんなリスクをとっているのか、仕組みがわからないと、どの商品を選んだらよいのか、わかりません。このように選択の幅が拡がる反面、多様な金融商品や金融機関を自分に合うように選択し、自ら責任をもつことが求められています。
このように、自分の責任に基づいて、金融商品を自分で適切に選択する、という意思決定と金融行動が大切になっています。