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やさしいデリバティブ

2 先物取引

2-1 先物取引とは?

先物取引とは、将来の売買についてあらかじめ現時点で約束をする取引のことです。

現時点では、売買の価格や数量などを約束だけしておいて、将来の約束の日が来た時点で、売買を行います。

前もって売買の価格を決めておくことができるので、価格変動する商品の売買につきものの、価格変動リスクを回避できるという利点があります。

本日 将来
本日はあらかじめ
売買価格や数量を約束します。
そのときの価格がいくらであっても
約束した価格で売買します。


先物取引のイメージ

下記説明のイメージ図

サキコさんは、先日ジュエリーショップでステキなプラチナダイヤモンドリングを見つけ、来年こそはボーナスが入ったら買おうと心に決めました。

価格は10万円だったので、日ごろの生活から比べるとちょっと奮発です。

下記説明のイメージ図

ただし、宝飾の原材料となるプラチナやゴールドの価格は常に変動していますから、宝飾店のきらびやかなジュエリーも原材料の貴金属の相場に影響されて、値上がりしたり値下がりしたりします。

下記説明のイメージ図

サキコさんは、プラチナダイヤモンドリングを買う決心をしたものの、1年後の価格が気がかりです。現在の10万円であれば買えますが、来年になってこれ以上値上がりしたら諦めざるを得なくなります。

下記説明のイメージ図

そこで本日、ジュエリーショップに行って、来年プラチナダイヤモンドリングを買うことを予約しておくことにしました。

手付金としてお金を少し支払っておけば、来年のボーナスでプラチナダイヤモンドリングを購入できるのです。

このとき価格は10万円と決めてしまうので、値上がりするかもしれないという心配はなくなります。

宝飾店のオーナーが、来年は商品が値下がりするかもしれないと考えていれば、この予約を受けるでしょう。オーナーにとっても、宝飾品の価格変動は心配の種だからです。

下記説明のイメージ図

1年後、サキコさんはもらったボーナスで10万円と手付金の差額を支払い、念願のプラチナダイヤモンドリングを購入することになります。

これで目的は達成です。ただ、そのときの店頭価格がどうなっているかも、気になりますね。

パターン(1) 値上がり

下記説明のイメージ図

心配していた通り、プラチナダイヤモンドリングの価格は12万円に値上がりしていました。でも、予約していたから大丈夫。10万円で購入できます。この場合、

12万円-10万円=2万円

店頭価格より、2万円ほど安く買うことができます。

パターン(2) 値下がり

下記説明のイメージ図

プラチナダイヤモンドリングの価格は値下がりし、宝飾店の店頭では8万円で買えるようになっていました。

しかし、残念ながら先物取引の予約の取り消しはできませんから、10万円を支払い買うことになります。

「予約なんてしなければよかったわ・・・」と思っても、今さらしょうがありません。この場合、

8万円-10万円=-2万円

店頭価格より、2万円ほど多く支払わなくてはなりません。

下記説明のイメージ図

下記説明のイメージ図

値下がりした場合にも10万円で買わなければならないのは損だから、サキコさんが行ったこの予約は無意味だと思うかもしれません。

しかし、予約時点では1年後のプラチナダイヤモンドリングの価格が、10万円より値上がりしているか値下がりしているか、分からないのです。価格が分からないからこそ、この予約には大きな意味があります。

サキコさんにとってみれば、10万円より値上がりしてしまったらプラチナダイヤモンドリングを諦めなければならない、という悲しい事態を避けることができたわけです。

サキコさんは、プラチナダイヤモンドリングが値上がりしてしまうリスクに対して、前もって策を講じたのです。

言い方を換えれば、サキコさんにとってこの予約は「買いヘッジ」というリスクヘッジ手段として、有意義だというわけです。

買いヘッジ


つづく

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